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大町町の伝説

入力日 2016-04-26 閲覧 9337
タイトル カメカブリ八幡
内容

 ある日、春成は夢の中で、神様の言葉を聞いた。

「西の肥前には、まだ宇佐八幡宮の霊を分けて神社に祭っていない。そこで、『大』の字と『小』の字のつく村に宇佐八幡宮の霊を祭りなさい。」

 春成は不思議に思ったが、神様の言うとおり『大』と『小』のついた村を探しに出かけた。六角川をさかのぼっていると、遠くに馬をひきながら歩いている男がいる。春成は、川岸に船をつなぎその男に聞いた。

「わたしは養父郡の壬生春成というものですが、この近くに『大』と『小』の字がついた村がありませんか。」

すると男は、

「わたしは、あなた様が来られるのを今か今かと待っていました。今日で3日も待っています。」

と言った。春成は不思議に思って、

「わたしがここに来るのを、どうして知っているのですか。」

とたずねると、男は、

「わたしは、この村に住んでいる土井重之と申す者です。ここは、杵島郡の大町という村です。北には花山という所がありますが、そこに4、5日前から白い旗が8本立っていました。もしかすると、花山に八幡宮の霊を祭るために壬生春成様が来られるのではないかと思っていました。それで案内しようと思い、3日前から待っていたのです。」

と答えた。春成は、

「では、ここに『大』と『小』の字がつく村はありますか。」

と聞くと

「ここが、大町という村で、ここより東に小田という村があります。」

と言う。

 春成は、夢に見た神様の言葉通りこの村に間違いないことを確かめ、宇佐八幡宮の霊を祭った。(聖武天皇の神亀元年724)

 現在、下大町、馬田橋の北東の道沿いに御神体と地蔵らしい二体の仏像が置かれている。八幡大明神の分霊を逃がさないように村の人たちが大きなカメをかぶせたという話が伝わっている。それで、この辺りを「カメカブリ」と呼んでいた。

 

「大町町の伝説」島ノ江寛 著 1998 協文社印刷より